サウナとマインドフルネス

「サウナで整う」という言葉を最近よく耳にする。体を温めることで得られる肉体的な効能ももちろんあるけれども、実は精神に及ぼす影響が意外と大きいのでは、とも言われている。普通の生活では100℃近い温度の部屋に身を置くことは考えられず、また、そこから一気に15℃前後の水に全身を入れることもない。このような過酷な環境下に身を置くことで、脳は生命の危機と捉えて、生命活動を活性化させるためのホルモンを分泌するのではないかと考えられているのである。軽度のうつ症状に効果が確認されたという報告もあるようで、身の危険を感じることの少なくなった社会に生きる我々にとってはカンフル剤的な役目を果たすのかもしれない。そういう意味で効果が期待できるのであればジェットコースターも何かしらの効果がありそうである。

 

もう一つ、サウナの精神への影響として「マインドフルネス」の状態が起こりやすいということが考えられる。マインドフルネスとは自らの体の内側に意識を向けた状態のこと。逆に「マインドレスネス」とは、時間に追われてバタバタと作業をこなしているような、自分の外に心がある状態のこと。

 

ちなみにジェットコースターには、このマインドフルネス効果は期待できないだろう。

 

背中や頭をなでてもらうと気持ちが落ち着いたという経験は多くの人が持っている。他にも、美容室で髪を触ってもらったり、黙想をしたりすることで気持ちが落ち着くのもマインドフルネスと関係がありそうである。

 

サウナは、高温の部屋で座って次第に熱くなっていく自らの体の状態を感じることが出来るため、マインドフルネスの状態となりやすい環境といえる。残念ながらテレビを置いているサウナが非常に多いが、テレビを観ながらのサウナは当然このマインドフルネス効果が弱まると思われるため、せっかくサウナまで行ったのであれば目を閉じて体を感じる時間としたい。