施術に携わるようになってからというもの、治療に役立ちそうな理論を幅広く学んだり健康関連ツールを自分の体でしばらく使ってみるなどして、それらを取捨選択しながら自らの施術に取り入れてきた。そのなかのひとつ「気功」について学びを進めていくなかで、いわゆる「パワースポット」に行き当たることになる。
特に古くて趣のある寺社仏閣やそれらを取り巻く自然について「パワースポット」という言葉が広く頻繁に使われるようになったのはここ10年ほどのことであろうか。あるいは、私自身が目に見えない不思議な力というものにそれほど関心を払ってこなかったため、もっと以前から使われていたのに気が付いていなかっただけなのかもしれない。
いずれにしても人間が作ったものから何かしらのエネルギーや不思議な力をもらえるとは思っていなかったし、その考えは今も変わっていない。ただ、古い建造物に対して文化遺産として心から敬意を抱いてきた。だからこそ「パワースポット」という呼称がいかにも軽薄で、歴史や文化へのリスペクトが感じられず好きになれなかった。
ところが「気」について学びを進めていくなかで、良い気(質の高い気、霊気)が多く集まる(濃い、満ちる、噴出する)場所があるということを知る。さらに、昔の人々はそういった場所に神社などを建造したと知った時、胸にすとんと落ちるものがあった。
建造物があってのパワースポットではなく、気に満ちている場所だから建造物が供えられたということである。
そんなことが頭にあった時に治療を受けに来られた方から鹿島神宮と香取神宮が素晴らしいと教えてもらい、ちょうど母が田舎から遊びに来ていたので一緒に行くことにした。
上の写真は鹿島神宮の奥宮の前に立って撮ったものである。もちろん実際は写真では伝わらない霊気に満ち満ちている。
左の写真は香取神宮の鳥居、右は鹿島神宮の鳥居である。別の世界への入り口のようにも見える。
結界としての鳥居からも、ずっと昔から人々が気を感じ取り、とても大切にしてきたことがわかる。
いっぽうで、「気」の学びは私に異なる角度からの考え方をももたらしてくれることとなる。
数日前、東京ディズニーランドに行く機会があった。私にとって20年ぶりのディズニーランドである。計算され尽くしたこの人工の世界についても、私のなかに20年前にはなかった「気」という観点から考えてみるととても興味深い。
先に私は「人間が作ったものから何かしらのエネルギーや不思議な力をもらえるとは思っていなかったし、その考えは今も変わっていない」と書いたが、1年間に実に3千万人超の人が訪れる(2017年 オリエンタルランド公式HPより)このディズニーの世界を目の当たりにした時、先に述べたパワースポットと同列に置くことは出来ないにしろ、あまりにも多くの来園者たちが何らかのパワーを受けていることは間違いない。
適切な言葉が見つからないけれども、また違う「気」があるのかもしれぬ。パワースポットが「霊気」なら、こちらは「元気」か。
ただ、「もし明日死ぬとしたらどっちに行きたいか」と問われると、私は間違いなく鹿島神宮を選ぶと思う。